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「アフターコロナでテレワークの質を組織であげるには??」開催レポート

さとうかな
2021/05/27

3月5日に、未来技術推進協会主催の講演会「アフターコロナでテレワークの質を組織であげるには??」を実施しました。

講演者には、”世界的循環をリードするサーキュラー(循環)総合商社を創る”ことを理念とされている株式会社オフィスバスターズの代表取締役会長 兼 未来技術推進協会アドバイザーの天野太郎氏、オフィスバスターズのグループ会社、株式会社レンタルバスターズの佐川一平常務取締役をお迎えしました。

オフィスバスターズ

代表メッセージ・経営理念

レンタルバスターズ
https://www.rentalbusters.net/

コロナ禍で長期化するテレワークに関して、過去の事例紹介、オフィスバスターズが取り組んできた具体的な取組を講演いただきました。具体例に富んでおり、オンラインでのコミュニケーションを主体とする未来技術推進協会のメンバーに取っても勉強となる時間になりました。

第一部 「アフターコロナにおけるテレワーク・リモートワーク企業の活用実態」

・ミッションが明確になった年に
法人の働く場所で使われているレンタル、リユース、リサイクルを手がけるオフィスバスターズ。「ミッションの一つ「ワークプレイスをサステイナブルandフレキシブルに」がコロナ禍でいろいろなところで叫ばれるようになった。」と天野会長は語ってくれました。
コロナ禍でテレワーク・リモートワークは一気に増加しました(東京都のデータでは現在約58%)。

ではテレワーク・リモートワークの課題は何でしょうか?
大まかには2点あります。
1つ目の課題はコミュニケーション不足による生産性・創造性の低下です。
90%の経営者はオフィス必要、50%の授業員がオフィスで働きたいと回答しているそうです。
この理由については、コミュニケーション不足による生産性・創造性の低下が原因なのではないかと感じました。
もう1つの課題は、働く場所の分散で電話などのエネルギーコストが増大することです。

この2点はどのように解消すればよいでしょうか?

天野会長氏は過去の他国事例を紹介して下さいました。
「アメリカでは、過去、テレワークに失敗しています。例えば米Yahoo!は2013年に在宅勤務を禁止し、米IBMは2017年時点で在宅勤務を禁止しました。理由は公表されていませんがコミュニケーション不足の問題ではないかと言われています。」
この点には初めて知ったので衝撃でした。
また、以下のような報告もあるようです。

「フランスでは、2018年にテレワークで働くことを従業員の権利と位置付けました。しかし、仏首相府戦略分析センターのレポートでは、テレワークは週2日くらいがもっとも効果があり、それ以上おこなうと生産性が落ちることがあると報告されています。」

この過去事例と様々な文献を読んでいくと、テレワーク・リモートワークの理想の形が見えてくると天野会長は語ってくれました。

「週5日の全日をテレワークにした場合は社員の孤立が生じるという問題が発生し、テレワークによって生産性が落ちる傾向にあります。それに対してテレワークが週1日または2日の場合に生産性・創造性が上がると考えられます。」

また、2つ目の課題のコストの増大に関しては、テレワークを利用する社員が2割から3割を超えると効率性が上がり、コストが削減されるそうです。

生産性や創造性を上げるには週2日程度のテレワーク・リモートワークの実施、コスト削減には社員2割から3割以上の社員がテレワーク・リモートワークの実施が理想のようです。

ところで、テレワーク・リモートワークのスムーズな推進には、オフィスの再設計が必要です。
従来のオフィスでは何をしていたのか?役割としては3つあります。
1 作業をする場所
2 書類等の保管場所
3 コミュニケーションをおこなうする場所

「1はテレワーク・リモートワークで解消可能、2はトランクルームで代替可能です。問題は3をどうするか?コミュニケーションが活発化すると人が集まる偶発性により想像性が上がります。」

3に関しての具体的な事例は第2部でオフィスバスターズの取り組みとして紹介いただきました。

イノベーションが起こりやすいオフィス空間設計のポイントとしてABW(Activity Based Working:アクティビティ・ベースド・ワーキング)の導入が挙げられます。

「状況に応じてフレキシブルに設計できることが重要です」と天野会長は語ってくれました。

具体的に、この新型コロナウイルス感染症の影響が続いている状況に日本企業はどのようなオフィス設計をしているのでしょうか?

「状況に応じてフレキシブルに設計できることが重要です。日本の企業はこのニューノーマルなオフィス設計に対して様々な取組をしています」
と天野会長はお話しくださいました。
例えば、ビデオ会議に集中する為の専門ブースの設置、フリーアドレスデスク、適切な距離を取った会議室設計、体温測定のためのサーマルカメラの配置、在宅勤務用に在宅セットレンタルなどです。またコミュニケーションの円滑化のために、飛沫を防ぐために適切な距離を取ったラウンジスペースの設置も重要となります。

米調査会社フォレスター・リサーチによると、アフターコロナでは、仕事をしている人の30%の企業がオフィスに戻る、60%が出社・在宅の組み合わせ、10%がリモート継続しているという選択をしているそうです。

最後に天野会長は以下の形でまとめてくれました。

「今後も新型コロナウイルス感染症の影響は続きます。以下の3点を踏まえてフレキシブルに活動する必要があります。
1 創造性を生み出すために、コミュニケーションを追及するための仕掛けを考える。
2 感染状況など世の中に合わせたフレキシビリティを担保する。
3 在宅、テレワークに関して、作業スペースの設置など、会社ごとの理想の形を模索する

第二部 「テレワークのテクニックをお見せします」

天野会長の話を受けて、佐川常務からがオフィスバスターズ・レンタルバスターズでの取組みを紹介していただきました。

「当社では、2020年4月時点で、オンラインなどの対応を極めることが会社として重要と天野会長からメッセージがありました。」と語る佐川常務。新型コロナウイルス感染症の影響を受けることなく、2020年の業績が伸びたそうです。そして2021年も同様、オンラインの強化を実施しており、質を上げることに注力しています。

「当社では、ABCの法則を大事にしています。
ABCの法則とは、
A 当たり前のことを
B 馬鹿にせず
C ちゃんとやる
人が大成するという法則です。」

この話を聞き、新たな状況では奇をてらった行動をやりたくなることがありますが、地道にできることを継続することが大事なのだと思いました。
ABCの法則、わかりやすいです。

さて、オフィスバスターズ・レンタルバスターズが具体的に取り組まれた事例は以下の5
つです。

1 訪問からデジタル営業へ
KPIを訪問件数からオンラインコンタクト管理に変更。リピーターのお客様には訪問でなくデジタルマーケティングを強化した。メールの件数が10倍。10件の訪問が1000件のメールが10件の訪問に相当する。

2 社内のオンライン、テレカン(テレフォンカンファレンス)のルールの設定
顔出し必須、ミュート解除必須、騒がしい場所でのミーティングは禁止。

3 社内設備増強
カメラ付きPCを揃える、オンラインミーティングスペースの設置、ITリテラシーに依存しないオンライン環境構築。

4 能力開発
テレカンのやり方を教える研修の実施。オンラインでの意思疎通強化のために、パワーポイント研修の実施。
テレワークでは管理職が作業時間が増えたため、管理職研修の強化。

5 コミュニケーション強化
仕事のストレスは娯楽で解消されることが多いため、オンラインの飲み会や麻雀会、ゲーム会などを実施

シンギュラリティ・ラボもオンラインコミュニケーションを強化しています。
特に4のパワーポイント研修はとても勉強になりました。コミュニケーション不足をパワーポイントを使用して目に見える形で解決していくという点、見習わなければと思いました。また、5のコミュニケーション強化では、オンライン飲み会は実施していますが、それ以外の企画も面白そうです。

最後に

どの観点でテレワーク・リモートワークを捉えるか?が大事になると実感しました。今後も様々新しい状況が起こります。フレキシブルにオフィス設計をすることを心がけていきます。

講演の様子はラボ活チャンネルにも公開中です。ぜひご覧ください!

この記事を書いた人
さとうかな
エディター