未来を創る、テックコミュニティー

ジャーナリスト金田氏講演「働き方4.0」から自分が輝く姿を描く

井上
2021/05/26
働き方4.0 自分を輝かせる

この度、ジャーナリストの金田さんを講師に迎え、「働き方4.0 〜自分を輝かせる〜」と題してオンライン講演会を開催しました!
前回に続き、アナログな人のつながりや従来の発想を打ち砕く様々な事例を通して、大企業だけでなく、個人や、社会的弱者と思われている人々にこそ可能性があることを示していただき、自分が何をできるか考えさせられる時間でした。

※イベントページはこちら
https://techplay.jp/event/813783

まずは宮澤さんから未来技術推進協会及びシンラボのご紹介の後、金田さんよりお話を伺いました。
日経グループの記者としての経歴を説明。その後、企業の中にありながら依存や過信せず、個人として何をすべきか、前回講演の振り返りとして、組織の分断という問題を、事例を交えてご紹介いただきました。

その中で、今の社会が抱える6つの病として以下を挙げられました。

  • 肥満化
  • 迷宮化
  • 完了化
  • ムラ化
  • 独善化
  • 恐竜化

 
→時代に取り残されて滅びていく

もちろん、課題だけでなく20世紀を生き延びてきた素晴らしい企業もあります。
その1つとして伺ったのが、アメリカを拠点に約200カ国に展開する3Mという企業です。
https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/company-jp/

顧客はもちろん、社員同士が積極的に交流を図り、自国に収まらない自由な想像力で市場を開拓。60年連続増配は異例です。
「Organic Local Growth」をスローガンに、数%でも成長し続けていて、「我々は生態系のような存在」だと表現されています。

会社ができること、個人ができること

日本の事例としては、千葉県市原市にある小湊鐵道をご紹介!
山間部で大赤字でありながら、市街地や高速バスなどで何とか利益を出して存続しており、そうした企業努力に呼応する形で、駅舎の掃除やイルミネーションを地元住民が「勝手連的なボランティア」として取り組まれているそうです。

様々な地方路線が廃線になる中、親子代々の職人など地域密着の経営のお手本のような形です。感謝を忘れず、自分を誇らない、「美しいか美しくないか」で経営をするなど、とてもユニークな経営をされています。

仕事の本質に向き合う、岩崎弥太郎「三菱三綱領・所期奉公」

「事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する」

皮肉なことに3.11の震災がきっかけで、大きなビジネスも小さなビジネスの集まりと気づかせてくれたと金田さんは言います。
三菱商事では社員の8割が支援に赴き、自分たちがやるべきこと、岩崎弥太郎「三菱三綱領・所期奉公」に立ち戻る機会になり、今も復興地支援を続けています。

「一人一起業」の威力、北海道の浦河市

浦河赤十字病院では、精神病患者を病棟に閉じ込めるのでなく、逆に町中に解き放ち、自由に考えを意見の共有・研究することで病症を抑える成果をあげています。
薬漬けにも拘束もしない画期的治療法の現場を見るために、精神科学会の人が訪れる一方、患者がそれぞれの能力を活かした「一人一起業」を目指して、立ち上げた事業が黒字化していて、いまや過疎化したシャッター街を蘇らせているそうです。

最初に始めた昆布の袋詰めでも、柔軟なシフト管理をとっていて、それは弱さを共有するからこそ出来ることだと言います。弱さを隠し続ける大企業の社員は、逆にそれができずに支え合うことができないという課題が起きています。

そういう意味では、小湊鐵道が行っている養老渓谷の逆開発も象徴的な活動です。
アスファルトの駅前を土に戻し、時速60kmから30kmにスピードを落とした観光用のトロッコ列車で、壁もとっぱらって自然に触れてもらう。
普段私たちがイメージしている都市開発とは異なり、開発(かいほつ)という禅の言葉に通じる自分の良さの発見を、アナログのつながりから体現されています。

不便を顧みず50~100年スパンで取り組む、サントリー天然水の森

森が再生しないと事業の根本が崩れる、その重要性を見出していろんな学術ジャンルの専門の方が集まって研究し、地元の人や企業の賛同・協力を得て活動されている事例でした。
一見、華やかな印象ではないかもしれないけれど、自分の仕事に意義と誇りを持って取り組まれている様子に心を打たれたし、そういう人たちだからこそ周りが応援しているのだと気付かされました。

質疑応答

ご講演の最後、代表の草場から「大企業の”安定”に対するメンタルブロックをどのように外せるか」という質問に対して、次のように回答されました。

人生100年時代、22歳から就職して70,80年同じ組織に所属し続けることができるのか、という問いを頭に浮かべてみるのが1つ。
また、企業においても捉え方次第で、自分は大企業という組織の中の1つではなく、身近な一部署を組織体として捉えて、小さな単位の中で、自分のできることや役割を見つめてみるようアドバイスいただきました。

編集後記

働き方 4.0というテーマで、まさに自分の働き方、働く理由を見直すとても濃厚な時間でした。
小湊鉄道の動画を見させていただいた中、住職のお話があったのですが、開発とは開発(かいほつ)という禅の言葉から来ているそうです。自分が悟りを開くのを「成道」、他人を悟らせることを開発(かいほつ)というのだとか。

森の取り組みのような「不便さ」というのは、そんな開発のきっかけになるのでは、とお話を聞いて思いました。何を自然、不便に思うかには個人差があります。
そうした自分の感覚をすり合わせていくことで、自分が何をしたいのか、仏教の悟りのように大それたことは言いませんが、リモートのおウチ時間を活かして少し自分に目を向けてみるのはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
井上
エディター