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【講演会開催報告】コロナ後の新しい働き方とネクストオフィスとは

福田
2020/06/25

みなさん、こんにちは
シンラボ広報部の福田です。

本日はシンラボ主催の講演会「コロナ後の新しい働き方とネクストオフィスとは」を行いました。今回の講演者はなんとオフィスバスターズの代表取締役会長 兼 未来技術推進協会アドバイザーの天野太郎氏です。また、レンタルバスターズの佐川常務執行役員からケーススタディとして「コロナを乗り越える中小企業の働き方改革とは」という講演がありました。

オフィスバスターズはオフィス、商業施設、工場、病院などの法人用品のレンタル・リユース・リサイクルなどのビジネスを展開しています。什器や事務用品などを循環型で使うのを手助けする中堅ベンチャー企業です。

今回はSNSでの宣伝を積極的に活用して、シンラボのFacebookなどでの参加を積極的に呼びかけたので、多くの方に参加してもらいました。ありがとうございました。

第一部:〜創造性X効率性X多様性、テレワークなどTechとRealの融合/創造性×効率×多様性を発揮できるか?!〜 (天野氏)

コロナ禍の影響でこれまで作り上げてきたグローバルサプライチェーンが崩壊しています。そのため、我々も日々実感しているように日常生活も大幅に変わってきました。ただ、これをきっかけに新たなビジネス・消費への進化が進んできています。

これまでは資本主義的な考え方が世界の主流であり、「規模の拡大」、「効率の追求」、「シェアの奪い合い」などによる過当競争一辺倒の考え方でした。これが、世界全体のGDPを押し上げてきたのは紛れもない事実であり、幸せな日常生活を送れているのも資本主義社会のおかげといっても過言ではありません。しかし、コロナ禍の生活を過ごしていく中で、「エシカル消費」や「環境にやさしい行動」に対して消費者の意識が変わってきたと思われます。特に欧米の大企業では「CO2排出量削減」や「化石燃料の使用量削減」に向けた動きが急速に進んできています。

コロナ禍では世界中のサーキュラーエコノミーを加速させると考えられるようになってきました。例えば、ヨーロッパでは2020年3月にサーキュラーエコノミーアクションを採択しており、あれだけコロナ禍で苦しんでいる中でも環境にやさしい世界を実現しようという流れが強まってきました。昔からヨーロッパはこの手の話に積極的に取り組んでいきますね。

また、必然的にリモートワークや在宅ワークの環境を急速に整備する必要がでてきました。その反面で、都心のオフィス使用率が3~4割に減少して、オンライン化が急速に進んでいます。これを言い換えれば2年分の「ITイノベーション」が進んだと言われています。コロナで苦しんでいる人が多いのは残念ですが、ITの社会実装が急速に進んだのは良かった点です。

テレワーク先進国のフランスでは、「テレワークで働くこと」を従業員の「権利」として位置づけています。ただ、週1~2日の場合に生産性向上のピークを迎えると言われているそうです。また、テレワークの普及が20~30%を超えると組織運営コストが減少するとの報告があります。単純なコスト削減だけに目がいってしまうと、生産性を考慮しないままにテレワークを本格導入してしまって、後で困ることにならないと良いですが・・・

また、働き方改革には大きく分けて、「創造性」、「効率性」、「多様性」の3つを全て実現する必要があります。特に日本人は「効率性」が得意なので、今回のテレワーク中でも「効率性」だけを重視しがちになってしまいます。どうしても、テレワークで効率的な仕事ができている気分になってしまって、その両輪である「創造性」を考慮しなくなってしまっていると感じています。

まだ数か月程度のことなので「効率性」を重視した働き方はできるようになってきたと思います。ただ、実は短期的に業績が落ちていなくても「創造性」が落ちていくのではないかと危惧しています。創造性は多様な人たちとの相互触発的な活動で向上します。シンラボのようなオンラインコミュニティで多様性の高いメンバーとの交流は一つ有効な手段ですが、本業でも効率だけを重視してしまうと長期的な人材育成にもつながりません。

最後に、これからのオフィスで求められることは、「オンラインがしやすい」、「テレカン・集中スペース」、「ITツールを拡充」です。コロナ後の分散オフィスに関する問い合わせが増えてきているようです。本社を中規模オフィスに分割したり、地方に移転させたり、三密を防ぐオフィスが求められています。オフィスという「ハードな部分」とそれを活用する「ソフトな部分」をうまく組み合わせて企業の生産性が向上していくことを期待しています。

第二部:ケーススタディ「コロナを乗り越える中小企業の働き方改革とは」(佐川氏)

大企業では「働き方改革」は比較的進んできていますが、中小企業ではまだまだ進んでいないのが実情です。コロナ禍の状況でも経営者の意識の低さなどの影響もあり、働き方改革が進んでいないとの新聞報道もあります。

経営者の意識という観点では、IT化はどうしても費用が掛かるので、特に中小企業ではなかなか進んでいかないのがあるのが現実だと思われます。もう一つは「人材面」です。ITを投資すると経営者が判断しても、ITリテラシーを高めて推進していかないといけないので、そういった知識を有している人材がいるのか?もしくは経営者がそういった若手をIT担当にさせるのか?などを壁を乗り越えていかないといけないです。

働き方改革を進める切り口は、「能力改革」、「行動ルール」、「実務環境」、「役割分担」、「権限移譲」、「風土の改善」などがあります。レンタルバスターズは設立当初に売り上げが伸びてきましたが、社員数も伸びて赤字になり、一念発起して働き方改革を2016年から進めてきました。Surface ProやTeamsの導入などを進めてきたので、コロナ禍でも売り上げを落とさずに活動ができています。これまでは、「効率性」×「創造性」の両立で取り組んでいました。紙の資料も全て無駄ではなくて、何度も見ることで重要文書の活用率を向上させることもできます。

ただ、現状ではテレワークが多すぎるので、コロナの特効薬やワクチンが開発されたら、対面での業務も増やしていきたいそうです。積極的に働き方改革を進めてきた企業は強いですね。

シンラボではこれから色々なイベントを開催していく予定です。イベントの詳細はこちら。
https://techplay.jp/community/futuretech-assotiation/event

 

この記事を書いた人
福田
エディター