ゲノム編集について簡単に解説してみました。
ゲノム編集はCRISPR/Cas9(クリスパー/キャスナイン)という技術によって大きく進歩してきました。
今回はできるだけ簡単にゲノム編集について解説します。
ゲノム編集とは、生き物が持つ遺伝子の目的とする部分を切り取り、遺伝子の配列を切断して変化させる技術です。
切断された遺伝子は生き物がもともと持っている遺伝子を直す働きにより修復されますが、その過程で遺伝子の並び(塩基配列といいます)が変わります。
目次
ゲノム、遺伝子、DNA…とは?
遺伝子やらゲノムやら、難しい言葉が並びますね。
ゲノムとは、すべての生き物がもつ遺伝子情報をすべてひっくるめて指す言葉です。
また、DNAは4種類の塩基(A:アデニン、T:チミン、C:シトシン、G:グアニン)で構成され、この並び方によって生き物の形や性質が決まります。このDNAの形や性質に関与する部分を遺伝子といいます。
出典:農林水産省リーフレット『ゲノム編集~新しい育種技術~』
遺伝子組み換えとゲノム編集、何が違うの?
遺伝子組み換え技術はは外から新たなの遺伝子を足して変異を起こさせるため、狙った働きをもつ生き物ができるまで何度も繰り返す必要があるこのに対し、ゲノム編集ではもともと持っている遺伝子を切断して変異を起こさせるため、比較的早く品種改良ができるようになります。
ざっくりいうと、ゲノム編集は遺伝子組み換え技術の進化版と考えてもいいかもしれません。
ゲノム編集を行うために、遺伝子の中の特定の箇所を切るDNA切断酵素が必要となります。CRISPR/Cas9のCRISPRはゲノムの狙った位置にくっつくRNA、Cas9はその横を切るハサミの役割を果たす酵素です。
これらはDNAの4種類の塩基(A、T、C、G)の配置を目印に結合し、遺伝子を切断します。
ゲノムを切断…ちょっと怖い?
ここまで聞くと、なにやら怖い技術だと思うかもしれませんね。
しかし、自然界では遺伝子が切れる、変化するというのはごくごく普通に、頻繁に起きているのです。
紫外線を浴びたり、けがをしたり…様々な刺激によって遺伝子は切れ、通常は生き物の遺伝子を直す働きによって修復されています。
時折、修復する過程で遺伝子が欠けてしまったり、別の遺伝子に置き換わったりすることが起こりますが自然界では突然変異といいます。
ゲノム編集はこの現象を狙った遺伝子に起こさせることができる技術です。
この技術を活用すれば、気候変動に強い作物や栽培しやすい作物を育成することができ、食料困難や、農業従事者の減少などの問題を解決することができるかもしれません。
また、農業以外にも医療、工業の面でも注目されています。
とはいえ、遺伝子を操作するゲノム編集は生態系に及ぼす影響や倫理的な問題があります。
これらの問題をどのように解決していくかが重要になりますね。
■参考
農林水産省技術会議
https://www.affrc.maff.go.jp/docs/anzenka/genom_editting.htm
バイオステーション
https://bio-sta.jp/faq/
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