未来を創る、テックコミュニティー

今更ながらFinTechについて調べてみた

シンラボ編集部
2019/09/16

※本記事は、未来技術推進協会ホームページにて2018年3月4日に掲載されたものです。

おはようございます。平野羽美です。
突然ですが、みなさん家計簿ってつけられてますか?
最近はアプリなどで手軽に記録を残せるため私も活用させてもらっています♪

そろそろ年度末も近づいていますし、お金の整理に追われてきている方も多いかもしれませんね。

さて、今回の記事はそんなお金と技術に関する注目ワード「FinTech」のお話です。


そもそもFinTechとは

最近、ニュースなどでFinTech(フィンテック)という言葉をよく聞くかと思います。
このFinTechという言葉は、金融(Finance)と技術(technology)を組み合わせた造語で、金融系の業務や製品に対してITを活用することで効率化を図ったり、AIなどの新技術によって新しい価値やサービスを創出する取り組みのことを指します。
最近では、AI、IoT、ビッグデータ、ブロックチェーンなどの要素技術を活用した事例が目立っています。

経済産業省が公開しているFinTechビジョンという資料では、FinTechの普及によって”あらゆる経済活動の裏にある「お⾦」のかたちが変わり、その流れが変わり、信⽤やリスクの捉え⽅が変わり、それらを⽀える担い⼿が変わる”と表現されています。
また、内閣官房が発表した未来投資戦略2017でも第4次産業革命Society 5.0の実現に向けた戦略分野と位置付けられており、国家レベルで経済活動に大きな変化を与える可能性があるものと認識されています。

では、FinTechとは具体的にどういったものなのでしょう?
ここからFinTechと呼ばれるソリューションの例をご紹介していきます。

FinTechで変化する分野

FinTechの動きは、銀行、証券、保険など既存の金融業の仕組みを変えてしまう可能性があると言われています。
ここでは経済産業省のFinTechビジョンの分類を用いて、FinTechによって変化する分野についてまとめていきます。

送金・決済

送金や決済(支払い)は、個人間・企業間を問わず関わる機会が多い金融サービスかと思います。
2010年から2015年の間のFinTech関連案件への投資金額を見ても、決済が融資と並ぶ⼆⼤分野となっています。(参考情報

送金や決済の手段に変化が起こっている背景としては、急速な電子化・モバイル化が挙げられます。
これにより、EC(Electronic Commerce:電⼦商取引)やSNS(Social Networking Service)などインターネットを活用した送金・決済の利用増や、クレジットカード・電子マネーなどによる決済手段の多様化がおこっています。
また、最近では、bitcoinなどの仮想通貨を決済手段や国際送金に利用する例も見られます。

家計管理・資産運用

冒頭で紹介した家計簿のアプリも個人向けのFinTechソリューションのひとつです。
お金の管理だけでなく、個人向けのローンや資産運用をスマートフォン経由で簡単に行えるようになっている事例もあります。

また、AI等の技術を組み合わせることで、自分の家計を自動的に把握し、資産負債状況に応じたアドバイスを受けられるサービスの提供も始まっています。

このように、個⼈の⽣活における⾦融との接点を⼤きく変えようとしているのもFinTechの特徴といえます。

企業会計・資金調達

FinTechによって変わるのは個人の生活だけではありません。
企業における資金管理や資金調達の場面でも多くの変化がおこっています。

例えば、ビッグデータ分析技術によって過去の事業活動から得られた膨大な情報を分析し、経営方針の策定やマネジメントの自動化・高度化を行うソリューションが存在します。
企業におけるFinTechは、金融だけにとどまらず「あらゆる事業活動の裏にある資⾦の流れを滞りなくすることで、経営全体を⾼度化・効率化する可能性を持つ」といわれています。(参考情報

また、インターネットなどの普及を背景として、クラウドファンディングやICO(Initial Coin Offering:新規仮想通貨公開)などの新しい資金調達の仕組みも発展しており、ベンチャー企業や中小企業の成長にも貢献しています。

クラウドファンディングで資金を集めた例としては、少し前に公開されていた「この世界の片隅に」という映画が有名かと思います。
この映画は、当初スポンサーが付かず制作資金が不足していましたが、クラウドファンディングによって3,900万円を超える資金を一般の支援者から集め無事に公開されました。

保険

FinTechというと前に紹介した決済や融資の分野が大きな割合を占めていますが、最近では保険分野でのベンチャー企業への投資や既存企業との連携・M&Aが増加してきています。

例えば、第四次産業革命に示されている変化として、IoTや自動運転技術の普及によってこれまで想定していなかった形態の事業活動やサービス提供が見込まれます。そのため、これらのケースを想定した、既存の体系とは異なる形でのリスクへの対応が求められてきます。
また、AIやブロックチェーン技術などの技術革新によって、既存の保険業務や保険機能が大きく変わることも想定されています。

なお、保険分野におけるFinTechは「InsurTech」と呼ばれることもあり、今後注目されるキーワードとなるかもしれません。

※ InsurTech(インシュア・テック)は、Insurance(保険)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語。InsTech(インステック)とも呼ばれます。

まとめ

今回は、FinTechの概要とFinTechの普及によって変化するといわれている分野についてまとめてみました。様々な技術の革新により、既存の金融業の仕組みが変化する可能性があるというのは、これから新しく何かをはじめていこうという人にはかなりチャンスがある領域ではないかと考えています。
私たち未来技術推進協会でも、アイデアソンなどのイベントによって今後発展が見込まれる技術を活用したアイデアの創出を行っています。また、FinTechなどの多様なプレイヤーが携わるサービスやソリューションを提供するための場として、企業同士、企業と研究者(技術者)をつなぐ活動も行っていますので、ともに新しい可能性を考えていければと思います。

参考

この記事を書いた人
シンラボ編集部
エディター