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非金融分野まで広がるブロックチェーン3.0(海外および不動産取引編)

福田
2020/05/16

みなさん、こんにちは。
シンラボ広報の福田です。

今回は世の中の技術動向に関する記事です。

シンラボにはブロックチェーン好きの大野さんがいますが、非ITエンジニアの視点でブロックチェーンの話をまとめておきます。今回の内容は皆さんが最初にイメージすると思われる仮想通過の話ではなくて、イスラエルの非金融分野への展開や不動産取引についてです。

ブロックチェーンの基礎

一般の方でブロックチェーンという言葉は聞いたことがある人は多いと思います。また、色々とニュースで騒がれたこともあるので、記憶に残っているでしょう。ただ、「じゃあ詳しく説明して」と言われても分からない人がほとんどだと思います。

細かい説明は下記の記事で紹介されているので、そちらを参照して頂ければと思います。

参考記事①:「ブロックチェーン」とは?今さら聞けない基礎知識を解説
参考記事②【わかる!暗号資産③】ブロックチェーン基礎編 ブロックチェーンって何に使われているの?

ブロックチェーンの最大の特徴は、全ての取引が時系列を含めて全てオープンになっており、誰でも確認できるという点です。一般的な金融取引では銀行などが情報を一括管理しており、ユーザーは他の人の取引は一切確認することができません。これはある意味で当然のことで、自分の貯金額や何を買ったのかを勝手に他の人に見られるなんてとんでもないことです。この違いがブロックチェーンの新しい商取引の可能性につながっている一方で、セキュリティの問題で本格的な普及に向けた課題となっています。

ブロックチェーンでは、そこに参加している全ての人が内部の取引を確認でき、監視人としての役割にもなります。下図は一例ですが、2人の間のお金のやりとりを他の3人も把握することが可能です。また、不正なことをしたら記録が残ってしまうので、誰でも不正を検知できます。また、データの改ざんも履歴が残ってしまうので、データの変更はもちろん可能であるが、それに不正があれば見つかってしまいます。もちろん、世の中には100%ということはないので、そういった部分を狙って悪いことをする人がいるのは否めないです。

一般的などこかの企業が情報管理をする仕組みのように中央集権化しなくて良い点です。そのため、どこか一か所が壊れても他所で復旧できるというメリットがあります。また、特定の管理者によるコントロールされないというメリットもあります。

非金融分野まで広がるブロックチェーンの世界

ブロックチェーンでも他分野と同じように進展に伴って1.0、2.0、3.0と数字が増えていく表現が使われます。多くの人がイメージするのは仮想通貨でしょうが、これは初期段階の内容です。今回は非金融分野まで広がったブロックチェーン3.0の世界の話です。当然、知っている人は知っていますが、多くの人には関係ない話なので認知してしていないと思います。ただ、世の中がどんどん進んでいっていますので、ある時突然こういった仕組みが当たり前になることも多いです。次のビジネスを考える人に参考になれば良いですし、ユーザー目線でも世の中の動向を知っていることは非常に大事です。

・ブロックチェーン1.0:仮想通貨(暗号試算プラットフォーム)
・ブロックチェーン2.0:金融分野(分散型プラットフォーム)
・ブロックチェーン3.0:非金融分野(多用途プラットフォーム)

例えば、ブロックチェーン2.0の金融分野では、資金決済、証券決済、クロスボーダー決済などが想定されています。そのため、銀行、証券、保険を扱っている企業ではブロックチェーンの活用を早期に検討や実証試験が進められていましたが、そのフェーズから本格的な商用化に至ったという話は聞いていません。銀行などは先行してデジタル化が進んでいるので、新たに投資をしてシステム全体を変えるというモチベーションに繋がりにくいという面もあると思います。

ただ、貿易金融の分野では徐々にではありますがブロックチェーンの活用が伸びてきています。IT会社のIBMと海運会社のMaerskが共同設立した「Trade Lens」というプラットフォームがあります。本プラットフォームでは、ブロックチェーンの利点である情報の共有化の点を活かして、貿易金融に関する情報を適切なアクセス制御をかけつつ、関係者で共有できる仕組みになっています。実は我々が利用している物資の80%は海運を利用した国際貿易で成り立っている反面、紙ベースの事務処理がメインで非常に非効率的な世界です。このプラットフォームでは、古い体質が続いている海運業界にメスを入れて、船舶や物資の状況など海運に関する全情報を共有できます。そのため、情報共有や事務処理コストを飛躍的に下げたり、事業機会を効率的にとらえられたりという利点につながります。ここで、重要になってくるのは全ての情報を共有化している訳ではないという点です。ブロックチェーンといえどもその辺はちゃんとコントロールできます。

この記事を書いた人
福田
エディター