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SDGsボードゲーム制作秘話・第2弾 アイデア×熱意×協力が生んだSDGsボードゲーム

みなさん、こんにちは。
シンラボ広報部の諏訪です。

今回は、未来技術推進協会(以下、協会)オリジナルのSDGsボードゲーム「Sustainable World BOARDGAME」の創案・開発者である阿部さんへのインタビュー記事となります。第一弾の児玉さんにインタビュー記事「ボードゲーム制作のきっかけ」に続いて、コンセプトやアイディア化、ゲーム開発過程での苦労話やゲームに懸ける想い、今後の展望までたっぷりと語っていただいた内容をお伝えします!

ー某世界的パズルゲームで世界チャンピオンを獲得したご経験などは存じていたのですが、元々ゲーム全般への造詣が深かったのでしょうか?

造詣が深かったかはわかりませんが、小中学生のときからテレビゲーム、TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)やボードゲームのようなアナログゲームはプレイしていましたね。高校~大学時代は友人とカタンを始めとしたアナログゲームをよくプレイしていたので、どの分野でも一般的なプレーヤーのレベルよりは高かったのではないかと思っています。

ー代表の草場さんからゲーム開発の依頼が来た時の想いをお聞かせください。

最初すぐにはこういった感じにしようといった構想は浮かばなかったですね。ただ、代表から「プレイした人がSDGsを自分ゴトとして身近に感じられること」「ゆくゆく世界大会を開催できるようになること」というハードルの高いオーダーがあったので(笑)、自分の経験を踏まえて一つずつ構想を練っていきました。

私の中でのコンセプトとして、「対戦ではなく協力」「現実世界での実践につながる具体的な題材」というものが固まって行き、ゲーム性としては「カードに従うのではなく自分のした選択が自身・他のプレーヤーの結果に影響を与える」ことを重要な要素としました。よくプレイしていたボードゲームの中に、自分のとった選択が同じ卓の他のプレーヤーに影響を与え、他のプレーヤーと協力することでクリアしやすくなるというものがありましたので、構想の参考にしましたね。

ー阿部さんの強みも踏まえつつ、ここはこだわろうと思ったポイントはありますか?

一番大きなポイントは、他のSDGsボードゲームとの明確な差別化として、具体的な事例を題材にすることを意識しました。他のゲームは、ゲームとしては面白いのですが、題材が抽象的過ぎて理解しにくかったり現実のアクションにつながりにくいと感じていたので、具体性にはかなりこだわりましたね。ただ、ここにこだわったことでかなり苦労したのですが(笑)。SDGsの適用事例は今採用している96個に絞り込んだ形ですので、実際は150を超える具体的事例を協会の方々が入念に調査し、集めてきたものになります。本当に皆さんのご協力には感謝です。

ゲーム性としてこだわったのは「トレードオフ」の部分です。主なものとしては、資金によって取組める内容が変わるといったお金と取り組みのトレードオフや、潤沢な資金がある団体と地域密着で資金力が少ない団体などの実態に即した登場人物がいかに協力するかなど、現実性を重視して入れ込みました。

ーゲーム性の部分についてもう少し突っ込んで聞かせてください。

ゲームの開発は初めてだったので、開発する上での知識・理論などは今回新たに勉強しました。ゲームの特性を決める要素は何なのか、どういうルールだと人が面白いと思うのかなどを学習しましたし、それとは別にプレーヤーとしてどんなゲームが面白かったか、流行ったかなどの知識や経験は人より多いので、それも着実に活かしました。

ゲーム性を考える上で「ルールの複雑さと遊ぶ意欲とのトレードオフ・バランス」が重要になってきます。ルールが複雑になればなるほど面白さは増していくのですが、それに伴って遊ぶ意欲は下がっていきます。そのちょうどよい損益分岐点のようなポイントを探すのが大変で、労力が必要な部分になります。そこは協会の皆さんに血のにじむようなテストプレイを重ねていただき、調整していきました。

ゲームの複雑さや面白さは単純に数値化できるものではないので、様々な方のフィードバックによる調整が必要でした。最初はルールが簡単な方に寄っていたので、複雑さのルールを加えながらテストプレイで調整する、を繰り返しました。単純にカードを引いて手元資金を元に取り組むというところから、自社の成長とSDGsの取り組みとのトレードオフを「ランクアップ」という仕組みで実現していきました。最初のローンチまでは2ヶ月弱という超特急だったのですが、その後ワークショップなどで様々な方から「実際は会社から予算を引っ張ってくるのが難しい」という声が上がったので、それをどう実現するかなどを検討、取り込んでいくという地道な作業を半年ほどやって今の姿を作っていった形ですね。

ー協会のメンバーを中心とした総力の結集が必要だったわけですね。

まさにその通りで、アイデアや創案をした上で、協会の皆さんが会社の業務後や休日も使いながら時には複数の卓で一晩中何十回とプレイしてフィードバックするという泥臭い努力の積み重ねが不可欠でした。協会自体の成り立ちも社会課題をテクノロジーを使って解決するという想い、熱意によるもので、今回のSDGsボードゲームもまさにSDGsを世の中に自分ゴトとして浸透したい、そのためにより多くの人が楽しく現実に即して学べるものを創りたいという熱意と善意、努力の結晶によるものだと体感しています。

ー少し別の観点でお伺いしたいのですが、カードゲームではなくボードゲームとして制作した背景・理由などをお聞かせください。

「自分ゴトに考える」という目的を達成するために、地域性を地図で表現したボードゲームという形態を採用しました。日本人であれば日本地図の上でプレイする方がより自分ゴトになりやすいと思いますし、地図を記載したボードゲームを使うことで各国版から都道府県版まで拡張させて広く深く普及させることが可能になるので、それは初期の段階から狙っていましたね。

また、SDGsの各項目の達成度は国によって違うため、スコアボードという形で自国に即したスタートの状態が表現できるようにし、より現実味を出すように工夫しました。世界大会を開催するという目標に対しても、各国への拡張や大会で競えるようにスコアリング基準を検討するなど、ボードゲームならではの展望も考えています。

ー当初の目標である世界大会開催に向けても実際に進んでいるんですね!

はい、今は地域版や各国版などの拡張と、各国同士で競えるようにするためのスコアリング指標の検討も進めています。ざっくりとした構想ですが、2020年内にまず日本での全国大会を開けたら良いなとは考えています。

ー少し視点を変えて、卓ごとの参加者や協力度合いによってかなり結果が変わるようになっていますが、こちらもデザインしたものでしょうか?

対戦ではなく協力、というコンセプトを実現するため、さらにSDGsの特性である「全員が参加者として協力する大事さ」をゲームに投影できるようにデザインしました。一緒に卓を囲むプレーヤーによっても、プレーヤー同士がどれだけ協力するかによっても得られる結果、気付きや学びが変わるという声は様々な方からいただいているので、デザインしたところがしっかりと伝わっていて手応えを感じていますね。

ー協会・シンラボでの様々な活動に向けてのキラーコンテンツになると考えているのですが、そこへの期待・可能性についての考えなども教えていただけますか?

年齢や職業などを問わずにプレイできて自分の活動につなげやすいという評価は各方面からいただいていますし、学校・教育機関や企業研修での利用実績の増加、ファシリテーター認定制度により多くの人が講師としてSDGsを啓蒙しやすい取り組みが増えていることなども認識しています。公認ファシリテーターの方々も全国各地方に展開していて、活動の確かな広がりを感じています。

2019年にドイツで行われたSDG Global Festival of Action 2019への出展、ソーシャルプロダクツ・アワードの受賞など外部機関からの評価もいただいていることを踏まえて、協会・シンラボでの様々な取り組みの加速、ブランディングへの貢献なども期待しています。

ー最後に、今後の展望についてお聞かせください。

世界大会の開催を見据えて、拡張版の制作や世界中の人の認知、プレイ人口のさらなる増加を目指していきたいです。

それと共に、協会の皆さんの一つ一つの尽力で現在の認知度の達成や受賞につながっていることを確信していますので、今後も強力なキラーコンテンツとして認知度の向上や活動の発展を加速できるようにブラッシュアップしていきたいです。

全12回の連載予定のSDGsボードゲーム制作秘話の第3弾は北畑さんの「SDGsボードゲームのブラッシュアップ」です。ご期待ください。

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